かつての大阪酒 12 『磯宝』 北村酒造(株)
一昨年の師走、仕事帰りに茨木市は本町あたりを歩いてますと黒くなった一枚の看板を見つけました。正味のところ大昔に何度か見たことあるそれですが…ここまで黒ずんでいなかった気もします。あまりに黒くて読みににくいので画像処理して載せておきます。
阪急本通と記された商店街と直角に交わる“本町ROSE街”という道に面してこの看板はありました。そこに記されているのは“清酒磯宝醸造元 北村酒造株式會社”の文字。見た目酒蔵という風情は絶無ながらここがかつて“磯宝”というお酒を造っていたところの様です。
昔ここを伺ったのは1987年の春。図書館でコピーした1974年版全国酒類製造名鑑にこの酒蔵の名を見つけ行ってみたのでした。
既に酒づくりはやめてはることは知っていましたがどんなところやったんかな程度に行ってみて、事務所らしき建物の中を覗くと木のさん箱に一升瓶が入っているのを発見。ダメ元で購入したい旨を伝えますと売ってもらえました。
その時伺った話では“もう10年ほど前に造りはやめて今は兵庫県の親戚の蔵に造ってもらってる”とのことでした。そういう訳で肩ラベルには“発売元 北村酒造株式会社”とありますが胴ラベルには“高徳銘醸株式会社醸”となっています。きっとこの時点でもう酒造免許は返納されていたのでしょう。しかしながら…王道を行く意匠がとってもよろしいなぁ。旨い酒に違いないと思いますわ。
当時のメモを見ますと「甘口やけど、うまい」と書いてあります。そうか…当時は“甘口は、もひとつや”と思っていたんですね。青いなぁ。
裏手に回ってみますればそこには広い駐車場がありました。
門柱に“北村酒造株式会社 通用門”の看板。きっとここに酒蔵があったんでしょう。
ついでに高徳銘醸さんのことも調べてみましたがほとんどネットではヒットしません。という訳で住所を頼りにストリートビューで見てみますと、2013年までそこに蔵がありますが2019年には宅地になっています。もう少し調べてみますと…こんな記事がありました。そうか…しんみりします。平成を何とか持ち堪えた酒蔵が令和になって大変なことになってる気がします。
いま、“磯宝”はどうなっているのか。また別の酒蔵に委託して売られているのかそのまままぼろしのブランドになってしまったのか。若かりし日々の様に気楽に尋ねる気にはなりませんで。
ちなみに昭和57年(1982年)主婦と生活社発行の“日本酒全蔵元全銘柄”によりますと“高徳”は「地元兵庫の米、日本晴を越後杜氏が仕込む。甘口だがベタつかない(以下省略)」とありました。兵庫県下で越後杜氏…珍しい様に思います。
磯宝 発売元:北村酒造株式会社
大阪府茨木市本町5番7号
醸造元:高徳銘醸株式会社
兵庫県加東郡滝野町505(現 加東市下滝野505)
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