星組 北翔海莉さん退団公演“桜華に舞え/ロマンス!!”・千秋楽
我が贔屓の北翔海莉さんもいよいよ退団。てな訳で堪能しましたで最後の出しモン“桜華に舞え/ロマンス!!”ちょっとトコトン。
まぁ、こっちも決めてるんですよ“これでしばらくヅカ観劇は卒業や”と。てな訳で当初より数回観にいくつもりでまずは9月1日に。
何事も前知識なしで楽しむのを良しとしている私でも今回のはそのポスターを見るまでもなく和モノと知り…正直あんまり好きやないんですよね、和モノ。これで卒業かとちとがっかり。
で、いざ鑑賞。えぇ…チャンバラもんか。ひと殺しシーンもなぁ。おまけに薩摩のコトバまみれでもひとつ何言うてはるんかもわからんし。あぁ…
で、二幕目のショー。これ古風というかオーソドックスな感じ。あんまり弾けた感ないし…と数回見る予定やったものの「もう、あと1回くらいでええわ」。
てなこと思いつつも9月17日にも観劇。端っこの席といっても袖舞台真横のええ席から見た二回目は「…ん、ええんちゃうん」。
いやいやなんのなんの、一回目の印象を完全に覆してますわ。なんかね、初回に感じた北翔さんの“疲れてはるんか?”みたいなモンが全然なくてスカッとした仕上がりに感じられて。もちろん私見です。方言のセリフもだいぶわかってきてストーリーもほぼ理解できて「これはええ出しモンや」と。そう言えば何かで目にしたか耳にしたな「千秋楽まで進化し続ける」とこの公演を説明してはった北翔さんのコトバを。
そう感じたら当然二幕目も違って見えてくるもんです。オーソドックスな出し物には違いない訳ですけど“まさに王道”な堂々さ加減が北翔さんのヅカでの現位置にぴったりに思えてくるんですなぁ。この時…いや、ここは初回からかなぁ、ちょっと気になったのが女性役に扮した礼真琴さん。これがね…くるんですよグッと。何がそう思わせたかってあれこれ考えると…そうか、いわゆる“娘役”は色気出したらアカンのでしょうけど、男役が女性衣装でやるときには許されると。それでですわ。ま、こういう見方はいかにも“男目線”で、すんません。それから、歌が上手いのがそれ以上になにより魅力的やというのを付け加えておきます。
もうそう感じたらなんとも楽しい舞台でして。3回目は10月1日、ほぼ中央前の方。北翔さんを間近で見ることができる最後のチャンス。でね、よ〜く見させてもらいましてん、お顔を。そしたら思いました「この人、タヌキ顔やわぁ」と。もちろん褒め言葉。そうなんですよね、やっぱりこの人かわいいもんがある。それがおもいっきり顔にも出てはるんですよね。やっぱり全身からラブリーなもん出してはりますわ。対して二番手、次期トップの紅ゆずるさんは“キツネ顔”。このコントラストがたまらんこの舞台を面白くしてるなぁとも思いました。あ、もちろんキツネ顏もオッケーオッケー。それぞれの個性です。
あ、どのタイミングで書けばええかとついつい後回しになってますけど、この出し物にかなりの深みと味わいを添えてはるのが西郷隆盛役の専科からの美城れんさん。殺伐としたシーンが多くある中、なんとも言えんほっこりした安心感がずっと根底に流れているのは、この人の持ち味によるところが大きいなぁと思います。それから初日観たとき、私の2つほど前の席の肘掛に腰掛けはってビックリ。なかなかうまい演出でしたわ。
そうそう、北翔さんと言えば“加美乃素”。その日の15時公演が加美乃素さんの貸切公演。なんや噂ではアドリブ満載の人気ステージとか。入場したとこにはこの様にデーンと加美乃素製品を紹介する棚が置かれていました。それはまぁそれでええんですけど何なんでしょ、この商品棚に大勢の人々が集って写真撮ってはりました。何やわからんまま私も撮りましたが…北翔ファンは、加美乃素ファンでもあるんですかねー。
入場前から北翔さんにお出迎えしてもろて…なのももう最後。そうか…ついにその時が来たか。
てなわけで4回目は10月3日、日めくり見ますれば今日は“大安”。あぁなるほど、そういうことやったんですね。
千秋楽。そらもう大劇場全体がもう異様な…は言い過ぎかな、熱気で溢れかえっていました。白装束の人たちもいっぱい、席に行けばおきまりのペンライト。やっぱりこの日は独特のモンがあります。
拍手もそらぁいつもより特大。皆でええ公演にしよという雰囲気の中で始まりました。
4回も見てると、少し筋書きが変わってることに気付き、うちのひとにその話をすると「そらアンタが理解してへんかっただけ、最初から一緒」と一笑。へへ、ま、そんなもんで観れば観るほどあれこれ見えてくるんですね。同じ出し物4回観るというのは、紫吹淳さん退団公演“薔薇の封印”以来のこと。今までヅカ観劇で「おもろないわ」と切り捨ててきた数々の公演も、回を重ねて観ると、どれもそれなりに面白かったんやないかという気がしてきました。
てなわけで北翔さんトップ就任まで、ほとんど馴染みなかった星組ですが、それぞれのジェンヌが様々な魅力を備えてはることも見えてきて…あぁ、やっぱり観劇やめられへんのかいなという気に。生え抜きの次期トップ紅ゆずるさんは胡散臭い役どころが魅力的。礼真琴さんはシュッと今日的ながらそこそこクセもんっぽい雰囲気を漂わせて…気になる存在。麻央侑希さんも背が高くて頭小さいちょっとキザと…どんな人なんやろ。そうそう、同じく退団しはる娘役トップ妃海風さんもね、変幻自在に色んなを面を持ってはってかなりええ感じ…あぁ気づくのが遅かったぁ。
全体通じてカッコええ一本気な主人公に出会えて…あぁなるほど、この出し物で辞めはるのも理解できましたわ。
普段飲まん焼酎ですけどせっかくのことやと幕間にカクテルとソーダ割りを。二部の間にええ感じで酔いが回って幕降りて…さ、おまちかね。
サヨナラショーが始まりました。同じく今回で退団される専科・美城れんさんの美声も堪能できてもちろんええショーやこと。そうそう、この美城れんさんへの拍手は、北翔さんを上回ってるんちゃうかというくらいにどの回も凄かったですね。知れば元々ずっと星組やった人やと。そらぁやっぱり大拍手となりますわ。もちろんそんなこと以上にやっぱり安定したええ味わいに対して惜しみない拍手を皆送ったわけですけど。
最後に美都くららさん、
美城れんさん、妃海風さん、北翔海莉さんの順で退団者ご挨拶。それぞれに個性あふれる挨拶をしてはりましたが、ここで持っていってはったんが妃海風さん。自ら「タカラヅカ大好き!」全開なその挨拶。天然ボケの連発…ええ意味で崩してくれはりました。そんな人ですから、惜しまれつつも“男役トップと同時退団”という王道を選びはったんかもしれませんな。で、北翔さんはやっぱり努力の人やったんやと思いました。“最大のライバルは己の中にある弱い自分、それに打ち克ってやってきました”的なコトバに…そやろなぁと。ご苦労さんでした。
盛り上がり、惜しまれつつの退団。幕が降りたり上がったり…計6回。ま、お決まりといえばお決まりなんかもしれんなと思いつつ、みなファンは熱いなぁと思ったのでした。もちろん私もですけど。
すべてが終わり日が暮れて…いよいよお見送り。なんかね、白装束の皆さんがとっても多くて遠慮気味に立った場所があんた、何にも見えませんがな。「霧矢大夢さんの時は外からながら中を見渡せたし、紫吹淳さんの時は…そや!中で見送ったで」と思い、そんな話をしてましたら「昔こんな立派な“門”あったかなぁ?」と、うちのひと。そんなん、あったんちゃうんと帰宅後ストリートビューでチェックしますと、確かに以前はない!。知らなんだなぁ気がつかんなんだわぁ。どうやら100周年の時に、鉄の門扉みたいなもんからこれに変わったみたいで…見とらんもんやなぁ。
てなわけで去っていくシーンはこんな感じ。先のふたりはろくに撮れなんだんですが、その失敗を生かしてトップふたりはなんとか撮れたぁ。
夕刻には雨上がるも1日雨やったこともあるのか…オープンカーを使わなんだのがちょっとがっかり。それより…ですわ。きょうびの退団では高級車やないんですね。4台ともみんな私には大衆車に見えたんですけど。これが時代を現しているのかたまたまなのか。ちなみに北翔さんの乗ったクルマは“千葉ナンバー”。郷に帰るという意味合いを持たせた粋なはからいやったのかも。やりますな、ファンクラブの人たち。
「おっ、この人ただモンやないわ」と思ったのが紫吹淳さん時代の月組公演“薔薇の封印”のときの乞食役(正しくは浮浪者、ニコラ)。調べればその公演が2004年ですから…そうか、12年楽しませてもらったわけですか。大空祐飛さんに次ぐトップになるまでの長い道のりでしたけど、ほんまにおおきにご苦労さんでした。なんでも乗り越えてきはったお方ですから、次のステージもちゃんと自分のモンにして堂々と世に出てきはることでしょう。ですが引退して二世に期待するもよし、とも思ったり。ま、まだ東京公演のことで頭ん中いっぱいなことでしょう。ずっと楽しませてくれはって、有り難うございました…って本人読まはるわけでもないのに誰にいうてんねん。
てなわけで、しばらくこのくくり“宝塚歌劇”の更新は…ないでしょう。知りませんが。最後に、なかなか手に入らんチケット購入に尽力してくれたうちの人にも感謝せなあきませんな。
(於:兵庫県宝塚市) ここ数日で急に白髪増。マリーアントワネットの白髪話は嘘やないな。そろそろお世話になろかな加美乃素。
※関連記事:
『月組 霧矢大夢さん退団公演“エドワード8世/MistyStation”・千秋楽』 2012年3月 記
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コメント
ええお話しを ありがとうございます。
いちいち納得のお言葉。
私も初見は なんかあ ハズレ?
何回も観劇するのが つらいかも
と、思ったのですが、
2回目からは北翔さんの力ワザ+組子の着いていきます!感で
芝居もショーも舞台も 素晴らしい
同じように思う人がいはって 嬉しいです。
北翔さん もう少し早く、、と思いましたけど
早かったら、紅さん、風ちゃんと共演してへんかったし、、、
これが最高のご縁やったんでしょうなぁ。
愛嬌
投稿: 愛嬌 | 2016年10月 4日 (火) 23時03分
なかなか、興味深いレポート、ありがとうございます。
4回、しかも千秋楽入れての4回なんて、凄すぎます。
確かに、終わりに近づけば近づくほど、舞台が練れてくるというか熟成してくるというか特にトップさんのサヨナラの時はその味わいが増してきますね。
そうですか、しばらく宝塚ネタはお休みですか。
でもね、以前も書きましたが、ばーっと一時ご贔屓がいて、それに熱上げて入れ込んで、ちょっとほとぼり冷めたころに、「ああ、やっぱり宝塚、ええもんやな」って距離置いた感で見る日が、来ると思いますよ。
ちなみに、私の友人で、宝塚にがーっと入れ込んでいて、今度は某ジャニーズグループに娘と共に入れ込んでるという人がいますが。入れ込むのが好きな人は、どこに行っても、入れ込んでしまうということもあるのでしょうが・・・
投稿: 天王寺蕪 | 2016年10月 5日 (水) 08時55分
●愛嬌さま
初めましてようこそアホげへ。
嬉しいなぁ…ヅカネタを記事にすると、“皆声”経由でたくさんのお方にお越しくださることになるのですが、みなどう感じてはんねんやろなぁと常々思ってましたので、とても有り難く思っています。
で、なんですか、ほぼ同じ様に思わはったんですね、今回の出し物に関して。その辺のニュアンスを解り合えるというのが、とても「でしょ〜」って。
で、うまいこと言うてはりますね。ちょうどええ時期にトップになりはったんですという解釈。ホントにひどい人事やともう宝塚歌劇団はキライやと思った時期もあったんですけど、お書き頂いたコメントにとっても納得。すっきりした次第です。
まぁしばらくはヅカネタも記さんことかと思いますがまた気が向いたら遊びに来たってください。
●天王寺蕪さま
いやいやほんま、今回の記事はもう“レポート”状態。アホげ史上最長ですわ。まぁこれが北翔さんへの御礼状みたいなもんです。
4回も見て…ひょっとしたら1回で解る様な出し物は案外薄っぺらいのかもしれんと思ったり。ですけど財力も時間もない庶民にはやっぱりその線だけでは困りますしね。
で、おっしゃってることはようわかりますよ。もう早速“礼真琴”さん気になってますしね。ま、ちょっと距離置いてということですわ。
さぁ次は何に入れ込むか…って、別になくてもアホげさえあれば…って自己愛に生きてますな。ええんかいな…って、やめられません。
お二人ともコメントおおきにでした。
投稿: 山本龍造 | 2016年10月 5日 (水) 16時49分
門、なかったですね、確かに。
で、私、ちょっとここのところ、一日がかりの外出がちょっと無理になりまして(休日の)、今回も結局行けませんでした。お誘いしつつ申し訳なかったです。
トップになるのが早い人、遅い人、いろいろいらっしゃるんですけど、やっぱり皆さん「ちょうどいいとき」になられるんだろうなと。その時がそれぞれに違っているという事なんだろうなと思います。
私のごひいきスターはとっくに退団していますが、特に誰が目当てという訳でもなく、やっぱり今でもあの華やかな世界が時々恋しくなって行ってしまったりするわけです。
ま、山本さんも、少し経ったら、そういう心境になられるかもしれません。
投稿: ぽんぽこやま | 2016年10月10日 (月) 12時42分
●ぽんぽこやまさま
いろいろたいへんな日々なのですかね。いろいろうまく運びます様に。
あくまでも興行があれこれ全体像を考えての配置換えをしてはるんでしょうから、きっとそれなりに理由があるんですよね。
で、おっしゃることわかりますよ。皆さん言わはる様にちょっと距離置いてみてまた「…やっぱりええなぁ」なんやろなぁって。
ガキの頃「げっ、なんやこれ」とヅカのポスター見てた自分がこうなった…広く深くいろんなことに感じたいもんです。
コメントおおきにでした。
投稿: 山本龍造 | 2016年10月14日 (金) 10時31分
初めまして、楽しく読ませていただきました。12年の長きに渡り「北翔海莉」を見守り続けて凄いと感じました。あの浮浪者役で
こやつは思われたなんて。
私は最近ファンになったとこで、昔のはなしが聞けて最高です。
ところで千秋楽のチケットをとる秘訣があればお伺いしたいです。根性だけでは、取れないもんねー。
投稿: 上野尚美 ウエピー | 2016年10月21日 (金) 10時53分
●上野尚美 ウエピーさま
はじまめしてこんにちは。
紫吹淳さんに始まり霧矢大夢さん、そして北翔海莉さんで終わり…かな。まぁこう並べてみると結局歌の上手なひとやないと私には響かんみたいです。しかしまぁ拙い文章を楽しんで頂けてうれしい限り。そこらへんにいっぱいある詳しく深いサイトさんに比べるまでもなくアホみたいなその内容に…おおきに有り難うございます。
でね、チケットの件ですけど、これはもうパソコンとネット使いの上手いうちのひとにまかせっきりでして。かなりあれこれやってるみたいですね、良心的なサイトで。
その昔梅田のプレイガイドに朝早くから並んだことが…懐かしいです。あれはあれで今思えば…楽しかったかも。ま、今ではそんな暇がないんですが。
こんなブログのこんな記事にコメントおおきにでした。よければ今後ともお付き合いのほど、よろしくおねがいします。
投稿: 山本龍造 | 2016年10月24日 (月) 11時25分