琺瑯タンクの余生 27 ● 島根県松江市宍道町宍道1345
宍道駅で木次線から山陰本線に乗り換えて出雲市へ。次の列車までちょっと時間あるわと駅前探索。「何か…ありそうやで」と路地に入りますれば…やっぱり。
ちょっと工場の様な建物の隅でパレットや薪に囲まれてやや小振りの琺瑯タンクがありました。
あったとは言え、何かに使われている風でもなく…と言うか、この建物自体が何となくもう稼動していない様な雰囲気が漂っておりシンと静まり返っています。
改めて表通りに出てその建物を確かめますれば、やっぱりもう営業されていない様子。ちょっとさみしいもんがありますわ。
これが、その建物。広告塔にはデンと“酒”の文字。右下には“大蔵屋”とあります。
何かね、この建物を最初見た時「ん?何か酒の工場っぽいなぁ」と思いまして。まぁ見るからに“酒蔵”な風情ではないのですが「酒づくりをヤメて酒のDSをやってはったのちゃう?」という風に…ま、勝手な解釈ですが。
帰宅後あれこれ調べてみますれば地図にここは“ギンヨウ大蔵屋”とありました。次に昭和30年発行の醸界年鑑で宍道町の蔵元を探してみれば…あった。『銀洋』という酒を醸す田中某という蔵が。
やっぱりここは造り酒屋の流れを汲む物件の様ですね。てなわけでこの琺瑯タンクでは清酒“銀洋”が醸されていたのに間違いないでしょう。
何年に酒づくりをヤメられたのか、また、今も酒販店として営業されているのかどうかはわかりませんでした。ちょっと古いデータの様ですが“元造り酒屋の親父が選んだ酒”が売りで、日本酒は“「菊正宗」「白鹿」のようなスッキリした銘酒をお勧めしています。”とのことやそうです。…そうなんですね。
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コメント
「廃」と云う字は“すたれる・すたる”とも読み、余り良いニュアンスでは使われませんナ。
で、造り酒屋を廃業し酒DSに転業したもんの、どうやらそれも廃業、此の侭ではやがて廃墟になりそうとかなんとか。
大体、元地酒蔵元の親父が灘の大手を推奨してどうしまんの(涙)…隣の病院は盛業のようですが。
「山卸廃止酛」だけは別か…
投稿: 難波のやっちゃん | 2015年4月10日 (金) 09時40分
●難波のやっちゃんさま
岸和田のある造り酒屋さんが廃業し、小売店をされた時は泉州地酒を主に扱われてました。もう残念ながら小売業もたたまれたみたいですが。
まぁそれまでのライバル蔵元の酒を置くというのも寛大なこころがないとできんわけで、その点ここはなかなか割り切れなんだんでしょうかね。
酒蔵経営も酒のDSも…きびしそうですね。
コメント御礼です。
投稿: 山本龍造 | 2015年5月23日 (土) 10時09分