“木津川アート2011”へ行って、雑感あれこれ。
昨日行った木津川アート、計24会場に展示されたアート作品を見て回る中で、“美しく味わある日本”を知り、またその一方で“失われていく日本”ということを考えさせられ…地方がいま直面している現実、こっちのメッセージの方がこの手の催しの最大のメッセージなんかもと思いましてね。アートというオブラートに包まれたその中身は、時に甘くやさしく、そしてとてもほろ苦く…それは瀬戸内国際芸術祭で各島々を回った時にも感じたんですが、この手の催しの隠れた(?)テーマは、そこにあるのかもしれません。ま、会場となっている建物のいくつかが空き家や倉庫だったので、余計にそう感じるのかもしれませんが。
そんなこと思いつつ見つけた「ええなぁ、日本」は、
上狛地区のお茶問屋の雨どい、これはすごいですね。今も“福寿園”をはじめ40軒ほどのお茶問屋が軒を連ねるこの地区、木津川の水運に恵まれ、静岡茶におされるまでは大いに栄えていたと言うだけあって、こんな雨どいみたいなもん(失礼)もコリコリの凝り様。龍のしっぽが茶壺に繋がって…“雨水を流す”という本来の目的以上に装飾が目的なのかもって感じですね。これは一例で、このエリア以外でも銅で凝ったものをいくつも見ました。びんみんさんもブログ『日常旅行日記』の“木津川アート2011が始まりました”に雨どいのことも記されています。
次に「過疎化の影響かなぁ」などと思いつつ植物パワーに魅せられた物件をふたつ。
外壁が植物に覆われているというのは、まま見ることがありますがこの物件、家の中までツタ系の植物でびっしり覆われています。もっと中の方はいったいどないなってしもてるのか…ちょっと想像できんというか、想像したくないと言うか。このままもっと取り込まれて呑み込まれて…土に帰るのでしょうか。
これは…「えらい植物茂っとるな」と思いつつ最初何かさっぱりわからないままこの前の歩道を歩いていたんですが、道路隔てて歩くと…「あ!」と。これはね、ガソリンスタンド跡ですわ、多分(=オイル交換所かもですが)。ガソリンスタンドと言えばコンクリでぬり固められたもんと思いますが、それでもこんなに植物がどっかから飛んで来てこんなジャングルの様になるんですねぇ。中に見えるオイルの看板の鮮やかさを見ると、そんなに昔々に廃業しはった感じがしないんですが…どうなんでしょ。こういう小さな町でも小さなガソリンスタンドでは厳しいのでしょうか。
とまぁ植物の勢いに呑み込まれる建物を例としてあげましたが、ま、もう営業されていない店舗や古いカップヌードルの自販機なんかも目に入り…こういうことが日本全国で起っているんやろなぁと想像せずにはおれませんでした。昔からのものを「懐かしぃ」と愛でているだけでは何にも解決せんであろうこの現実…とかなんとか思ったのはよそモンの戯言みたいなもんでしょうかね。この様にアートイベントを企画し実行し、みんなで楽しんではって…いろいろ難題もあることでしょうけど、こういう前向きな活動が明日の日本につながる…とか何とか話が大袈裟になってきましたのでこの辺で。失礼致しました。
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コメント
山本龍造さん、こんばんは。
ご紹介までありがとうございます。
この龍の雨樋見事ですね。私の思ってたのと違いますわ。
なぜ雨樋に凝るのか不思議ですが、案外、誰かが奇抜な雨樋付けたら近所の評判になって、それならうちの方がみたいな流れやったりして。
植物に占拠された家、最初の方のは私も見ましたが、ここまで来ると怖いですね。ガソリンスタンドの繁りぶりには驚きます。
こんな風景が増えていくのでしょうか。
投稿: びんみん | 2011年11月 5日 (土) 00時46分
カップヌードルの自販機を見ると透明プラスティックのフォークを思い出してしまいます。
普通に割り箸でいいのに、わざわざフォークを備え付けていたのはやはりファッション性を重視してたのでしょうか。
投稿: 雀のお宿 | 2011年11月 5日 (土) 19時41分
●びんみんさま
そうですね、木津川市には、これ以外にも「おっ、これはこれは」な雨どいあちこちにいっぱいありましたもんね。きっとびんみんさんの見つけはった物件も素晴らしい細工の雨どいやったんやろなと想像します。
これらの雨どいの凝り様、想像される様にどっかの一軒がゴージャスに仕上げはって、「ほな、うちはあの家以上のを」とやった結果なんでしょうね。それにしても、それに対応できる板金屋さんがいたという事実もすごいですよね。製茶業で栄えたこの町界隈、きっと文化レベルも高かったことでしょう…今もでしょうが。
植物パワー全開は…何とも複雑な気分にさせられます。「これでええのか?」と思ったり「もう少し謙虚になるべきなのか」と思ったり。
●雀のお宿さま
ははっ、あの透明プラッチックのフォークね。きっと当時「どんぶりに箸」であって「カップにフォーク」だったんでしょうね。今でもホンマはあのフォークで食する方がファッション性高い様に思えるのですが…どうでしょ。
で、あのフォークですが、均等に3つに分かれてなくて、左の1本(もしくは右の1本)だけ、ちょっとイレギュラーな形してたでしょ。あれが何でやったんか、いまだにわからなくて。あれは…フォークで湯を注いだ後のフタを締め付けるための工夫やったのかなと思ったり…
お二人ともいつもコメントを有り難うございます。
投稿: 山本龍造 | 2011年11月 5日 (土) 23時05分
カップヌードルの自販機、いいですなあ。
たまーにスーパーで\ 78 だたりすることあって、コンビニで買うと \ 158 ぐらいで大損気分になるんですけど、
よー考えたら熱湯を提供して、その場で食える付加価値が。。
しかし、私は昔、スーパー大安売りのカップを自販機のお湯で。。。
カップの検知が単純なレバー式でしたので、
割り箸をセットすれば、ただお湯がでてくるだけが面白くて遊んでました。
御存知でしょうが、万博記念公園前に現役で稼働してるのを確認しました。
一年ほど前に。
残念ながら、昔の機種でわありませんでしだが。
投稿: わい | 2011年11月 6日 (日) 23時13分
わいさま
カップヌードルの自販機、私も小〜中学生時分にお世話になりました。初期型は、太い注射針みたいなノズルが上から降りてきて、ブチュっとアルミの蓋を破ってお湯を注入するスタイルでしたよね。その後、ボタン押しながら目視でお湯を注ぐスタイルに変わったと思うんですが…どうでしょ。
それでですね、自販機のお湯だけをちょっと使わしてもらった記憶が私にもある様なない様な…でも、きっとあるなぁ。
その頃、“コインを入れて27秒”ってフレーズのうどんの自販機もあって、そっちの方をよく利用していましたが…いったいいくらで売っていたのかももう思い出せません。
今でもカップ麺の自販機って、高速道路のSAで見かける様に思うんですが…どうだったでしょうか? 日清ので言うと、カップ型のきつねうどんとかがあって…書いているうちに自販機専売品にも興味が湧いてきました。
カップ麺のパッケージを開けて(場合によっては添付スープを入れて)、ポットからお湯を注ぐ音が事務所でひっそり聞こえる…これもまた、案外瞼に浮かぶ情緒ある光景かもとか思いました。話ずれてますね。
懐かしのコメント、有り難うございました。
投稿: 山本龍造 | 2011年11月 6日 (日) 23時35分