続・瀬戸内国際芸術祭2010
今回の高松入りは、前回訪れることができなかった瀬戸内国際芸術祭2010の会場ふたつの島を巡るのが主な目的。まずは“大島”へ。
官用船に乗って入島…松林美しいそこは道の辻々からたおやかな音楽が流れており…島内すべてが国立療養所大島青松園ということで、全域が国により管理され、そこでハンセン病にかつてかかられた皆さんが生活されているという…こえび隊の方の説明によると、この音楽も後遺症で目が不自由になった方達への道案内的に流されているとのこと。淡々と説明されるその島の歴史の重さ、そこで暮らしてはる人々の気持ちを思うと、先の音楽の調べも相まってさみしく感じられ…芸術祭の観賞という目的であれ、こここそ外せない島やと感じました。当日は男木島が火事で観賞中止でしたので、ここ大島を訪れる人が多かったみたいですが、普段は他の島に比べてひと桁違いの少なさとのことみたいです。この島に関しては「アート観賞」は導入であって、そこから島を知るという流れでええのやと思いました。ま、どの島でもそれでええみたいで、総合ディレクターの北川フラム氏もそのような趣旨のことを語ってはるみたいです。
翌日はちょっと贅沢して高速船で“直島”へ。今回の芸術祭にとっての本島みたいなこの島へは今回で3度目ですが、やっぱり今回も以前からと同じ様な印象を受けたのでした。それは…どうもこの地でアート展開を進めるベネッセと島民との融和が感じられないということ。勿論本当のことなんてただの旅人にはわからんのですが、どこか、その島の人々がこの流れを冷めた目で見てる様な雰囲気を感じてしまうんです。ま、あくまでも私見ですが。
この島の展示物は、ベネッセが手掛ける恒久的作品がメインって感じで、その多くが“撮影禁止”でした。そんな中で一番人気だったのが“地中美術館”。採光窓など以外ほとんどが地中にあるという不思議な空間。安藤忠雄設計のこの中でクロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアのを用いて構成される世界は「はー、ハイアートを目指してはるネンなぁ」と、さすがやと思いました。建物全体がちょっと迷路っぽい作品って感じもありましたし。が、その一方で「?」な感じもして面白く感じました。それは、館内で注意しはる人が、白衣っぽいコスチュームでトーンを落として話す口調が、何とも「宗教施設かここは?」っぽい感じで、正直、ちょっと胡散臭い。勿論そこにある作品から発せられるイメージもそう見えるわけで…まぁ、よく考えてはるなと言えば、よく考えてはるのですが。ちなみにきっぷ売場の人たちも、そういう関係者っぽい制服でした。
バス停からこの入口までの間に、細長い池を中心としたとてもいい感じの庭があって、そこに蓮が花を咲かせてました。これもやはりその世界観に合わせているのでしょうか。「モネの絵があるから蓮やねんな」とうちのひと。そっか、気がつかんかった。
今回見た作品の中で、「これはええなぁ」と思ったのが千住博氏の作品。例によって“撮影禁止”。立派な民家を再生させた空間(左の写真)に描かれた襖絵は…本当に迫力があって繊細でかつ斬新で見る角度によって見え方感じ方が違って…う〜ん、やっぱりホンマもんの作家による作品はちゃいますなぁって感じです。ここは、ずっと佇んで観賞していたかった。建物充分に資金をかけて修復再生してあったので、多分恒久展示になるのでしょう。何か心に強くくる作品に出会えた嬉しさを久々に感じた気がしました。もちろんこの建物全体を含めてええ感じです。
前回の島めぐりとは、打って変わってとても穏やかな気候でとても心地よく回ることができました。やはり暑さを避けていた人々が多かったのか、平日でもどこも大入り。今回は子連れ家族からリタイア組まで「年齢層が幅広いな」という印象でした。先に少し触れました様に、アート観賞しつつ瀬戸内の心地よさを愛でる、これでええんですね。ある種“アートが村おこしに貢献している”わけで、あれこれ思うことも色々ありますが、ええイベントやと思いました。お陰で私もすっかり瀬戸内好きになりましたし。おおきに瀬戸内国際芸術祭。
※参考記事:“瀬戸内国際芸術祭2010”
(於:香川県高松市、直島町)
“おやじの海”は直島発祥やとは、知らなんだ。沁みるなぁ。
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コメント
なんでなんでしょうね。欧米の美術館で「撮影禁止」ってあんまりお目にかかりません。もちろんフラッシュは禁止ですが。
日本の美術館って撮影禁止が多いですよね。
投稿: ぽんぽこやま | 2010年10月 1日 (金) 20時13分
ぽんぽこやまさま
何かね、当たり前の様に“撮影禁止”になってまして、私もすっと「そらそうや」と思っていたんですが、浅田政志さんの“浅田家”という展覧会の会場に“写真OK”と書いてあるのを見て、ちょっと考えが変わったんです。「何でアカンねん?」を自問自答して、答えられなかったという…
そんな“当たり前”と思っていること色々、再考する必要があるかもしれませんね。
コメントおおきにです。レス遅くなってすいません。
投稿: 山本龍造 | 2010年10月 4日 (月) 10時36分
別のこと書き忘れてました。
大島ですね。私も岡山にある邑久光明園というハンセン病療養施設の見学に行ったことがあるんです。邑久町とうところにある長島という島にあるんですが、この島には長島愛生園という別の施設もあります。邑久光明園は元々大阪にあった関西の施設なんです。
軽症の方でいったん退所されて床屋さんをされていたんですが、再発されてご近所の方には「故郷に帰る」とだけ言って療養所に戻られたそうです。園の旅行で奈良に行ったとき、旧知の人とバッタリ出会ったそうですが、目があったときに相手も事情を知っていたのか、「あっ」という顔をされて、何も言葉を交わさずに分かれたそうです。
ハンセン病を取り扱った映画に「砂の器」がありますが、知っておきたい、知らなければならない悲しいことですね。
・・・ちょっと今回は真面目なコメントを入れさせていただきました。
投稿: ぽんぽこやま | 2010年10月 6日 (水) 01時36分
ぽんぽこやまさま
私、正直申しまして、この芸術祭がなければ、この病気にかかった元患者の人々がどこで、どの様に暮らしてはるのかを知りませんでして…情けない話です。
世の中あまり知られていないけれど、知っとかなければあかんことって…いっぱいあるんでしょうね。
知ること、そして、想像すること
大事なことですね。
コメント、有り難うございました。
投稿: 山本龍造 | 2010年10月 7日 (木) 18時34分
遅ればせながら。
おりしも「大島青松園」でもロケがあった映画「ふたたび Swing me again」という映画見てきました。
( ´;ω;`)ブワッ でした。
公式サイト
http://futatabi.gaga.ne.jp/
です。機会があればご覧ください。お薦めです。
投稿: ぽんぽこやま | 2010年12月 1日 (水) 22時56分
ぽんぽこやまさま
必ず…と言い切ることはできませんが、ぜひ、見に行こうと思います。
ええ情報を有り難うございました。
投稿: 山本龍造 | 2010年12月 2日 (木) 22時47分