マンション用地の民家、解体再開。
ここは、今年3月“広大な都心の更地は”の回でもふれた広い広いマンション建設予定地。不況のせいか半年ほど家屋の解体作業が中断していましたが、ここにきて再開、すべての民家が姿を消しました。
「あぁ、痛ましい…」と写真を撮ったものの、何ともこれが後味が悪くて。「自分の生まれ育った家だったら撮れるか?」と問われれば「撮れない上に見もできん」わけで。建物自体もこんな姿を見られたくないだろうし…
ただ、やはり“変わりゆく街並の記録”は必要とも思いまして、ここに載せることにしました。「美しく立派なマンションや団地街ができる前には、また違う歴史があったんやろなぁ」と思いを巡らすことも、時には必要なことかもなぁとも思いました。
しかし何です。上町台地というのは本当に起伏が多くて、今回解体された民家は、写真でいう向こう側に玄関があり、こちら側が裏手になっていました。入口が2階にある2階建て住宅だったみたいですね。こういう状況になるまでは解らなかったのですが。
あと、『五社稲荷大明神』というのがあり、鳥居も残っているのですが(写真左下の方)、どうなるのかが気になるところ。祠の中はもうすでに空っぽでしたが、工事が終わると、またちゃんとこの場に戻されるのでしょうか。ぜひそうあってほしいものですが。
(於:中央区 写真上:9.16撮、下:9.17撮)
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コメント
「変わりゆく街並の記録」は必要やと私も思いますね。
私の住んでいた長屋も取り壊されて今、マンションが建っています。
一番楽しかった子供の頃に家族みんなで住んでいた「我家」はもう二度と見る事が出来ませんから…
今も時折行くんですけど、やっぱり寂しいですね。
今、実家辺りの写真撮って回ってるんですが「変わり果てた町並み」の記録になってます。
投稿: ナムダー | 2009年9月19日 (土) 21時56分
ナムダーさんこんにちは。
…お子の頃の家が現存しないのですね。ま、思い出までは壊されないということで、割り切らな仕方ないのでしょうけど、それでも、何とも悲しいことと察します。
町を出る人、入ってくる人…と徐々にその町を構成する人々が変わっていくのは自然なんですけど、こういう巨大マンションの出現は、どうも今までの歴史…そこにあった建物や家族だけではなく、コミュニティまでもを完全になくしてしまうというのが、どうも釈然とせんのです。仕方ないことなのでしょうけども。
で、写真の面白さは、やっぱり“記録性”やなぁと最近とくに思っています。「変わりゆく街並の記録」、本当はもっと意図的ではない何げな写真の方がその趣旨に合っているとも思います。でも、そういう写真を撮るのが…難しい。ちょっとその辺も意識して…では、このブログの趣旨には合わんわけで。
いつもコメント有り難うございます。
投稿: 山本龍造 | 2009年9月20日 (日) 10時31分
我が家も去年建て替えを余儀なくされました。
小学生のときに木造住宅を壊して鉄筋コンクリートにしたのですが、内部から腐食が激しくなり、雨漏りもひどくなったのです。小学生のときの建て替えのとき、奥座敷の部分はまだ傷みが激しくないということで残しました。鉄筋コンクリートに木造がつながるという珍しい建て方でした。今回は全部壊して建て替えるということで、母が特に木造の部分があまりに寂しすぎるということで、荷物を全部運び出した後、写真を撮りまくりました。
「物」ですら長く使っていると命が宿りますね。私が免許を取って初めて乗った車、次に買い替えるときに、義理の兄が、その車欲しいと言い出しまして、譲りました。結構走った車でしたので、そんな車でいいのかと思うような車でしたが、姉の下の子が物心ついて乗った初めての車でした。中古車でしたので、そんなには長く乗れませんでしたが、廃車にするとき、その子が泣いたそうです。その車に乗って家族であちこち行った思い出がいっぱい詰まっていたんでしょうね。
投稿: ぽんぽこやま | 2009年9月20日 (日) 16時11分
ぽんぽこやまさまこんにちは。
鉄筋コンクリートの建物でもそういうことがあるんですね。素人のわたくしには“鉄筋は丈夫で長持ち”なイメージがありましたけど、そうでもないのですね。ひょっとして
>>内部から腐食が激しくなり
というのは、海砂を使ったコンクリートのせいで、鉄筋が錆びたということなのでしょうか?
だとしたら…何ともつらい話。なかなかコンクリの品質まで判らんですもんね。
で“モノにいのち宿る”ですが、ほんまそうです。
それを考えすぎるとめちゃチビった鉛筆とか消しゴムにまでその思いが強くなって…ぽんさまのお姉さんの下の子の気持ちがわかるなぁ。そんな思いで捨てられん大物小物いっぱいあって。
まぁ、捨ててしまえば案外気にならんであろうモンばっかりですが。
いつもコメント有り難うございます。
投稿: 山本龍造 | 2009年9月20日 (日) 22時07分
そうです。鉄筋が錆びてきたんです。で、コンクリートがひび割れだしてきて。
鉄筋コンクリートのひび割れってやっかいですね。
木造の分かりやすい雨漏りと違って、家のど真ん中のところに水溜りができていたりして。
結構早くから始まってましてね、屋根をつけ直したりしたんですけど、ダメでした。
リフォームの見積もり取ったら、結局新築並みにかかるということで。
投稿: ぽんぽこやま | 2009年9月21日 (月) 17時28分
龍造さんの書かれた文章と撮影された写真、私のコメントへの返事に何か思うものがありました。
一応、アヒルちゃんを見に行くと言う理由付けでしたが、それから少しだけ、上町台地を南へ下ってみました。建物と建物の間の更地を見ると龍造さんと同じ思いにかられてしまいました。
ほんま、時間の流れと言うのは酷やなと思いました。
シビアに書いて申し訳ございませんでしたが。
投稿: ナムダー | 2009年9月21日 (月) 23時33分
●ぽんぽこやまさま
“アルカリ骨材反応”ってヤツなんでしょうかね。湿気の多いところにあるコンクリ建物も、ちょっとキビシーもんを感じますが。
「風土にあった建物」を再検証する時期にきてるんでしょうね…って、まぁ、専門家の皆さんには当たり前な話なんでしょうけれど。
●ナムダーさま
シビアなコメント有り難うございます。
“アホげ”ではありますが、色々とマジメに考えてもいる(…つもり)ので、コメントとても嬉しく拝読させて頂きました。
アヒルちゃんチェックのあと、熊野街道を行かれたんですね。だったら、今回のこの更地、メチャ近くだったんですよ。谷六あたりでしたので。ま、見るのもツライもんがありますが。
でね、
>>時間の流れと言うのは酷や
と私も思うんですけど、それ以上に
“経済優先の論理と言うのは酷や”
ということも思いますね。
お二人さんともコメント、いつも本当に有り難うございます。
投稿: 山本龍造 | 2009年9月22日 (火) 22時15分