かつての大阪酒 7 『成功正宗』 池尻酒造(株)
一帯が河内素麺の産地だった様に、水が良い地なのでしょう。今では『富士霞』の重村酒造醸を残すのみとなってしまった枚方市には30年ほど前まで5軒もの造り酒屋がありました。そのうちのひとつが『成功正宗』。津田地区の山麓に位置する小さな酒蔵の酒は「軟水で仕込んだ旨口」だった様ですが、買いに行った当時(1982年)にはすでに自家醸造していなかった様で、以前その蔵で杜氏をしていた方の話では奈良の蔵で造ってもらってると言う話でした。昭和60年に出版された『日本の名酒事典』(講談社刊)によると「明治43年創業、酒造業の成功を願って命名。岡山県産アケボノで仕込んだサッパリした口当たりの酒」だった様ですが…普通に飲みよいお酒だった様な曖昧な記憶しかありません。
1990年頃に廃業されたみたいですが、その後『成功正宗』の発売元として池尻(株)となり、奈良の葛城酒造か千代酒造(…どちらか忘れてしまいました)が醸したお酒を売っておられました。時代の流れで廃業は避けられないでしょう。せめてこの様に『成功正宗』のブランドだけでも残ってほしいものですね。(現在でも同様のスタイルで販売されているかどうかは不明です)
成功正宗:池尻酒造株式会社
大阪府枚方市津田元町
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コメント
こんばんわ。
「成功正宗」はかつて「みや鶴」があった所の少し上にある蔵元さんですね。電話帳にはまだ掲載されているから・・・たぶんまだお酒は扱っているのではないでしょうかね?
投稿: からす | 2009年5月 5日 (火) 23時48分
からすさま、毎度です。
廃業された蔵元さんでも、電話帳に掲載されていることは、割とあるみたいなんで、成功正宗は…ま、そのうち買いに行ってみる事とします。遠い先のことになるやもしれませんが。
それから、補足ですが、このお蔵、創業当時は「沢の松」という酒名だったそうです。
投稿: 山本龍造 | 2009年5月 7日 (木) 09時47分
成功正宗で思い出しましたが、かなり以前に神戸の中央図書館で1969年に伊丹酒造組合から発行された「伊丹酒造組合史」という本を見ていたら、当時組合に所属していた蔵元が掲載されていて、その中に三田の西中弥久造さん(西中酒造場で掲載されてたかも知れません)という蔵元さんがおられたんですが、この方の作っておられたお酒の冠名が「成功正宗」でした。何か関連があるんでしょうか・・・?
投稿: からす | 2013年11月25日 (月) 14時27分
からすさま
私も以前「同じ酒名やな」と思い見ておりましたが、この2蔵の関連性は知りません。名字も違うことですから、別モンと考えていますが。
話それますが、和歌山県に“初桜酒造”というのがあり、“初桜”と“亀鶴”を出されています。それ以外に香川県に“亀鶴酒造”というのがあり、ここも“亀鶴”と“初桜”を出されています。これは以前初桜酒造さんに訊いたところ、親戚筋やということでした。残念ながら、亀鶴酒造さんは、もう造りをされていないか、廃業された模様です。
こういうこともありますので、“成功正宗”も親戚やったのかもしれませんね。
コメントおおきにでした。
投稿: 山本龍造 | 2013年11月29日 (金) 19時03分