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2008年12月19日 (金)

当時フイルム今回デジタル、同じ現場。で、雑感。

081202 今月初旬、丹波にある造り酒屋さんへ7年ぶりに撮影に出かけました。以前はポジフイルム、今回はデジタルで撮影…杜氏さんや蔵人さんが変わったとはいえ7年ぶりに同じ環境(酒蔵)で撮影させてもらったわけですが、写真を取り巻く環境はほんとに激変したなぁと改めて思いました。私的には様々な点において、35mm判のフイルムカメラよりデジタルカメラの方が勝っていて、写真のデジタル化を肯定的に捉えていたんですが、今回、改めて7年前の写真と今回撮った写真を見比べたところ「…これはまるで、フイルム制作時代の“水戸黄門”とVTR制作の現在それとの差ともいえるなぁ」とも思いました。
 今回の写真の方が(高感度設定でも)ざらつきもなく細部も暗部もきれいに描写され、色補正もほぼ完璧でブレも少なくピントもシャープな写真(=これはオートフォーカス、手ぶれ防止機能というカメラ、レンズの進歩のおかげ)なのですが、どうでしょう、見る側からしたら、フイルムで制作されたものの方が「味わいがあるなぁ」と感じるのではないのかと。「あのザラザラ不鮮明感があってこそ水戸黄門やん」と同じ意味において。
 最近特によくクライアントさんに「やっぱりデジタル写真って味わいがないね」と言われて「何を根拠に言うてはるんやろ?、単なるデジタルのイメージがそう思わしてるのとちゃうか」と思っていましたが、今回の撮影で、ちょっと皆さんが何を言われてはるのかが解った気がしました。ある編集者がこんなことを言ってはりました「デジタル写真データにちょっとだけ、わからん程度に画像処理ソフトで“ノイズを加える”と味のある写真になるょ、こういう発想はカメラマンにはないでしょ」と。これの意味も今回鮮明に理解できた気がします。ただ、一生懸命やってもノイジーな写真にしかならんと言うのと、きれいな写真をノイジーにするのは意味が違うことで、やっぱり私としてはノイズを加える様な加工はしたくないと思ってしまいますが(=古風な動画にするために、わざとスクラッチを入れる様な感じかなぁ)
 解りません、ほんとはわかりませんけど、お酒でも料理でも陶芸とかでもそやないかと思うんですけど、100点を目指して日々励むけどなかなか100点にならん。けど飲み手や鑑賞者は適度に完成されていない部分を愛でたりする。ほなそれでええんかとわざと80点目指して作っても、飲み手や鑑賞者の胸に響かない。そんなニュアンス。
 ま、これからも普通にフイルムが入手できるのだったら、フイルムとデジタルは使い分けする必要があるなと感じました。ただ、フイルムがほとんど流通しなくなったら…“ノイズを加える”も必要に応じてやらないかん処理になってくるんかも…しれませんね。

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コメント

はじめまして。古い記事へのコメントですみません。

十年ほど前、「やっぱりフイルムの質感はデジタルでは出せない」と、個人的にフイルムでの撮影に傾倒し、ひとり悦に入っていました。今考えるとそれはデジタルで撮影し得たデータを加工してフイルム風にするのと、「心根」において変わりない幼稚な行為だった様に思っています。

また、技術的に未熟で独創性もなく、感性にも乏しい私が撮るようなものは所詮、何時か誰かが既に似たようなモノを撮っている、決してそこから抜け出る事の出来ないシロモノでしかないことに気づいて、デジタルも含め趣味としての撮影をやめました。

で、今こうして龍造さんをはじめ、皆さんの作品群をネットで眺めて満足している次第です。

投稿: untipogiapp | 2020年11月12日 (木) 20時41分

●untipogiappさま
はじめましてこんにちは。ようこそアホげへ。
これはまた随分昔の、しかもうんちく記事へのコメント…嬉しい限りです。
自分自身「そうか…当時そんなこと思てたんやなぁ」と、妙な再発見を記事読みながら感じました。
今は…もう完全デジタルおお気に入りの日々でして…何というか、デジタル技術が我を解放してくれたと日々思っています。あれだけ銀塩、しかも白黒にこだわっていたというのに…です。

我の話ばかり記してしまいました、すいません。

あれこれ自身のことをお書きですが何と申しましょうか「あれえええやん、これもええやん」で撮らはって楽しまれたらどうでしょう。“撮影をやめる”…なんかもったいない気がしますが…どうでしょう。
untipogiappさま、今後何ぞ撮ってどこかにアップしはったらぜひ見にいきたいと思います。人の数だけ独創性も感性もあるわけですもんね。

長なりましてすいません。
今後とも何ぞ気になる記事ありましたら気楽に書き込み頂ければ幸いです。
懐かしい記事へのコメントおおきにです。

投稿: 山本龍造 | 2020年11月12日 (木) 21時59分

大河ドラマでも「篤姫」はビデオまんまで、以後はフィルム風に加工、朝ドラも「カーネーション」以後はフィルム風に加工したものが多くなりました。
そこまでカメラに詳しくないですが、デジタル写真は「いかにも写真」って感じはあまりないですね。
プリントすることも最近はなくなりましたし。

投稿: ぽんぽこやま | 2020年11月21日 (土) 01時53分

●ぽんぽこやまさま
あ〜なるほど。動画のことはさっぱり知らんのですけどそういうアナログ風加工をすることが邪道やなくて普通に行われているってことなんですね。へぇ〜って感じがします。
で、静止画…写真は確かにそうかもしれません。もちろんデジタルの方が昔のフイルムのそれより絶対的に鮮明ですけど…ってのは35mm判との比較であって4×5判とか大判と比較すると、またニュアンスの違う話になるかもしれませんね。
これまた古い記事にもコメントを。新コロで客入りさっぱり…なんて言い訳は無粋でした。もうコメント欄も閑古鳥鳴きっぱなしの中嬉しいかぎりです。長い付き合い御礼申し上げます。

投稿: 山本龍造 | 2020年11月23日 (月) 10時48分

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