かつての大阪酒 3『勢門』牧野酒造(有)
その昔、岸和田市には4軒の蔵元がありましたが今は2軒。しかも自家醸造されているのは1軒のみというさみしい状況です。
で、旧市街地に位置する(?)並松町にはかつて2軒の蔵元があり、そのひとつがこの「勢門」の牧野酒造さんでした。私が伺ったのはそれこそ四半世紀前でして、ほとんど記憶も残っていませんが、まだまだ当時珍しかったというのもあって“原酒”を購入したみたいですね。この頃の原酒は、たいてい20度以上あってひつこく感じたんですが、メモには「甘口、旨かった」と記されています。このお蔵も大手の下請けを盛んにされていたのか、蔵の裏に屋外タンクが数本あった光景を「へぇー」と思って見た覚えがあります。その後しばらくして廃業され、牧野本店という名で酒販店を営んではりました。よその泉州地酒を扱ってはって「地の蔵を応援してはるんやなぁ」と思ったものです。
今年五月、その地を再訪しました。写真のとおり酒蔵は当時のまま残っていました。ただ、酒販店はやめはったみたいでシャッターが閉まったままでした。蔵の中は屋根付き駐車場として利用されており、裏手にあった屋外タンクは撤去されていました。古い町並みの残るこの界隈、表面的には何ひとつ変わっていないなぁという安堵感がありましたが、酒づくりの唄も新酒の香りも漂わない冬の日々なんやなぁと思うと…やはりさみしい思いが込み上げてきました。まぁ、仕方ない時代の流れなんですが。
勢門:牧野酒造有限会社
大阪府岸和田市並松町
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