おやっさんの里、但馬へ 1- a
例年9月に但馬牧場公園で行われる“但馬牛まつり”に一泊二日で行ってきました。但馬牛の美味さも格別ですが、主な目的は、何と言ってもそこで行われている“酒まつり”の会場へ行くこと。美方郡新温泉町在住の但馬杜氏(=新温泉杜氏)が醸したお酒すべてが勢揃い(37杜氏、38蔵の酒)。それを杜氏さん自らに注いでもらってきき酒するという何ともお酒好きには贅沢なイベントです。高齢→引退で年々出品されているお酒が少なくなって淋しい思いもするんですが、年に一度、ここに来て杜氏の皆さんや、引退した杜氏さんとお酒を呑みながら、お話しさせてもらうのは、本当に楽しいひとときです。
例年お話させてもらう方のひとりがこの方(手前のお方にあらず)、田村さん。酒米“赤磐雄町”の里、岡山で“酒一筋”という酒を造っておられます。で、早速この方の純米大吟醸を。「香り華やかでも落ち着いていてまろやかで…」コトバにすると薄っぺらくなりますのでやめます。ほんま美味しいなぁ。訊くとやはり赤磐雄町で仕込んだものだと。その時聞いた話では「山田錦の酒は寝かせて良くなるようだけど、雄町の酒はあまり寝かさん方がえぇみたいだな」とのことでした。勉強になります。各蔵ほぼ2銘柄出されており、田村杜氏は「燗して旨い酒が本当はええ酒やと思うとりますが」とおっしゃってました。そのもうひとつの純米酒は“冷や”ではありましたが「燗したら旨いやろうなぁ」という味わい。対局の味ではあるもののええ意味でクセの少ない、でも旨味のった美味しさでした。
そうこうしているうちに、お酒きくよりお話の方が面白くなってきて…会場の外へ出たところで“ヤブ長”さんに出会えました。写真一番左の方です(左より:ヤブ長さん、玉乃光兵庫工場の元杜氏さん、“若戎”の前杜氏中村さん、“酒一筋”の田村杜氏、栗坊)。氏は奈良・吉野の“花巴”の“おやっさん”(=杜氏のこと)で、四年前に引退されましたが、以前仕事で知り合って以来、但馬ではもっとも親しくさせて頂いている方のひとり、昨年会えなかったので嬉しさもひとしお…で、翌日お宅へおじゃますることになりました。ここで皆さんが話しておられたことを要約すると「今までは、(技など)伝えられ、伝えて地位向上を訴えていくのが仕事やったけど、我々は、杜氏組合をどう終わらせるかを考えなあかん…」という内容。温泉杜氏組合の発展させることが仕事だった組合長という職務も、どう組合を着地させるかというのが仕事になっているという現実を語っておられました。“酒まつり”もあと何年続くんやろうか。素朴やけどすごく楽しいまつりやのに。まぁ「酒づくり=出稼ぎ」と捉えると、出稼ぎせずに生活できる基盤が整ったと喜ぶべきことなんだけれど、も。(話は尽きませんので、一旦閉めます)
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